足が動かない、立てない…考えられる原因と対処法
犬や猫が突然足を動かせなくなったり、立てなくなったりすると飼い主としては非常に心配になります。このような症状は、単なる疲れではなく、神経や筋肉、関節、血流の異常が原因であることが多いため、早めの対応が重要です。今回は、犬や猫の足が動かなくなる主な原因とその対処法について解説します。
足が動かなくなる主な原因
1. 椎間板ヘルニア
犬では特にダックスフンドやコーギーなどの胴長短足の犬種に多く見られます。椎間板が突出して神経を圧迫することで、後肢の麻痺や歩行困難が起こります。重症化すると完全に立てなくなることもあります。
2. 馬尾症候群
大型犬に多く、脊椎の末端部分(馬尾神経)が圧迫されることで、後ろ足のふらつきや麻痺、排尿・排便の異常が見られることがあります。
3. 変形性脊椎症
加齢による骨の変形が神経を圧迫し、足の動きが悪くなることがあります。特に高齢の犬や猫で見られます。
4. 血栓塞栓症(猫に多い)
猫では「大動脈血栓塞栓症(サドル・スロムボーシス)」と呼ばれる疾患があり、後ろ足の血流が遮断されることで突然動けなくなります。これは非常に緊急性の高い病気で、すぐに動物病院で治療を受ける必要があります。
5. 神経疾患や脳の病気
脳梗塞や脳炎、脳腫瘍などが原因で、運動機能に影響が出ることがあります。特に突然の麻痺が見られた場合は、神経系の異常が疑われます。
6. 筋肉や関節の問題
関節炎や靭帯の損傷、筋肉の異常によって足が動かなくなることもあります。特に高齢の犬や猫では関節炎の影響で歩行が困難になることが増えます。
すぐに動物病院を受診すべき症状
以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。
- 突然足が動かなくなった(特に後ろ足)
- 痛みを伴うようなしぐさをする
- 後肢を引きずる、またはふらついて歩く
- 排尿・排便ができなくなった
- 足先が冷たい、青白い(血流障害の可能性)
- 意識がもうろうとしている
自宅でできる応急処置
受診までの間に、自宅でできる対応策を紹介します。
1. 無理に歩かせない
無理に動かすことで症状が悪化する可能性があります。安静にさせ、動かさないようにしましょう。
2. 保温する
血流障害が疑われる場合は、タオルなどで包み、体を温めると症状が和らぐことがあります。ただし、熱すぎる温度は避けてください。
3. 痛みがある場合はそっとしておく
痛みを伴う場合、無理に触るとペットが興奮したり、噛んだりすることがあります。なるべくそっとしておきましょう。
治療方法
動物病院では、以下のような診断と治療が行われます。
1. 診断
- 神経学的検査:どの部位に問題があるかを確認
- X線・MRI・CT検査:脊椎や神経の異常を詳しく調べる
- 血液検査:血栓や感染症の有無を確認
2. 治療
- 椎間板ヘルニア → 安静・消炎鎮痛剤・外科手術(重症例)
- 馬尾症候群 → 抗炎症剤・神経保護薬・手術
- 血栓塞栓症(猫) → 血流改善治療・酸素療法・鎮痛処置
- 関節炎 → 痛み止め・関節サプリメント・リハビリ
予防策と日常ケア
ペットが突然立てなくなることを防ぐために、日常生活でできる予防策を紹介します。
1. 定期的な健康診断
特に7歳以上のシニア犬・猫は、定期的な健康診断を受けて、病気の早期発見を心がけましょう。
2. バランスの取れた食事
適切な栄養摂取は、筋肉・神経・骨の健康を維持するために重要です。獣医師と相談しながら、適切なフードを選びましょう。
3. 適度な運動
適度な運動は、筋肉を維持し、関節や神経の健康を保つために重要です。無理のない範囲で、散歩や軽い遊びを行いましょう。
4. 滑りにくい床環境を整える
フローリングなどの滑りやすい床にはカーペットやマットを敷き、転倒を防ぎましょう。
まとめ
犬や猫が突然足を動かせなくなる原因はさまざまですが、神経疾患や血流障害など、緊急性の高い病気が関与していることがあります。できるだけ早く動物病院を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
当院では、ペットの歩行障害や神経疾患の診察・治療を行っております。気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください!
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レラ動物病院
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