去勢手術しないとダメ?腫瘍リスクと健康への影響を解説
はじめに
愛犬や愛猫の去勢手術について、悩んでいる飼い主さんは多いのではないでしょうか?「本当に必要なの?」「しなくても大丈夫?」と考えることもあるでしょう。去勢手術には様々なメリットがありますが、中でも腫瘍のリスクを下げることが大きな理由の一つです。
本記事では、去勢手術をしない場合にどのような腫瘍のリスクがあるのか、また去勢手術による健康への影響について詳しく解説します。
1. 去勢手術をしないと腫瘍のリスクが高まる?
去勢手術をしない場合、ホルモンの影響で発生しやすくなる腫瘍があります。特に雄犬・雄猫で多く見られる腫瘍を以下に紹介します。
1.1 精巣腫瘍(睾丸の腫瘍)
未去勢のオスに特に多い腫瘍の一つが精巣腫瘍です。精巣にしこりや腫れができ、進行すると痛みや体調不良を引き起こします。
精巣腫瘍の種類
- セルトリ細胞腫:ホルモン異常を引き起こし、乳腺の発達や脱毛の原因になることがあります。
- ライディッヒ細胞腫:比較的良性のことが多いですが、大きくなると問題になることがあります。
- 精上皮腫:進行が早く、悪性化しやすい腫瘍です。
特に、**停留精巣(片方の睾丸が腹腔内に残る状態)**の犬猫は、精巣腫瘍の発生リスクが通常の10倍以上になるとされています。
1.2 前立腺疾患と腫瘍
未去勢のオスでは、加齢とともに前立腺の肥大や腫瘍が発生するリスクが高まります。特に前立腺癌は非常に進行が早く、転移のリスクが高い悪性腫瘍です。
去勢をすることで前立腺が萎縮し、前立腺のトラブルを予防できます。
1.3 肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)
肛門の周囲にできる良性腫瘍ですが、大きくなると排便がしづらくなることがあります。未去勢のオスに多く、去勢をすることで発生リスクをほぼゼロにできます。
1.4 会陰ヘルニア(腫瘍ではないが注意が必要)
腫瘍とは異なりますが、未去勢のオスに多い病気として会陰ヘルニアがあります。肛門周囲の筋肉が弱くなり、腸や膀胱が飛び出してしまう状態です。腫瘍と同じく、手術が必要になるケースが多いため、去勢による予防が勧められます。
2. 去勢手術のメリットとデメリット
去勢手術には腫瘍予防以外にも様々なメリットがありますが、一方でデメリットも考えられます。
2.1 去勢手術のメリット
✅ 腫瘍や病気のリスクを下げる
- 精巣腫瘍、前立腺疾患、肛門周囲腺腫の予防になる。
- 会陰ヘルニアの発生リスクが減る。
✅ 問題行動の軽減
- マーキングや攻撃性が減少し、性ホルモンによるストレスが軽減される。
✅ 望まない繁殖を防ぐ
- 特に多頭飼育の場合、不要な繁殖を防ぎ、管理がしやすくなる。
2.2 去勢手術のデメリット
⚠️ 肥満になりやすい
- 代謝が少し落ちるため、食事管理が重要になる。
⚠️ 麻酔のリスク
- 若く健康な個体ではリスクは低いが、高齢になると麻酔リスクが上がる。
⚠️ ホルモンバランスの変化
- ごくまれに尿失禁などの副作用が見られることがある。
3. いつ去勢手術をするべき?
一般的に、去勢手術は生後6ヶ月〜1歳の間に行うのが推奨されています。これは、性成熟が始まる前に手術をすることで、問題行動の抑制や病気の予防効果を最大限に得るためです。
ただし、成犬・成猫になってからでも手術は可能です。未去勢のまま高齢になると腫瘍リスクが高まるため、なるべく早めに獣医師と相談して決めるのが良いでしょう。
4. 去勢手術しない選択肢はある?
去勢手術をしない場合、定期的な健康チェックが必須です。特に精巣や前立腺の腫れ、肛門周囲の異常に注意し、早期発見・早期治療を心がけることが重要です。
また、一部の国や地域ではホルモン治療を使って一時的に去勢と同じ効果を得る方法もありますが、日本では一般的ではありません。
5. まとめ:去勢手術は腫瘍予防に有効!早めの判断を
去勢手術は、精巣腫瘍や前立腺疾患、肛門周囲腺腫などの腫瘍リスクを大幅に減らす有効な手段です。特に、停留精巣がある犬猫は去勢が強く推奨されるため、早めの決断が重要です。
もちろん、去勢手術にはメリット・デメリットがありますが、愛犬・愛猫の健康を守るために、獣医師と相談しながら最適な選択をしましょう。
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