避妊手術しないとダメ?犬猫の腫瘍リスクと避妊の重要性
はじめに
「避妊手術をしないと病気になるって本当?」「うちの子は手術しなくても大丈夫?」そんな疑問をお持ちの飼い主さんは多いのではないでしょうか。
犬や猫の避妊手術は、単に繁殖を防ぐためだけでなく、病気のリスクを減らす大切な役割を果たします。特に、避妊手術をしていないメスの犬や猫は、ホルモンの影響によって腫瘍ができるリスクが高くなることが知られています。
この記事では、避妊手術と腫瘍の関係、避妊手術を行うメリットやデメリット、適切な時期について詳しく解説します。
1. 避妊手術と腫瘍の関係性
避妊手術をしていない犬や猫は、ホルモンの影響を受けやすく、特定の腫瘍が発生しやすいことがわかっています。代表的な腫瘍について見ていきましょう。
1.1 乳腺腫瘍
犬や猫の乳腺腫瘍は、避妊手術をしていないメスに多く見られます。
- 犬の乳腺腫瘍:発生率は非常に高く、避妊手術をしない場合、50%以上の確率で発生すると言われています。そのうち約半数は悪性腫瘍(がん)で、転移のリスクがあります。
- 猫の乳腺腫瘍:犬よりも発生率は低いですが、できた場合の約80〜90%が悪性であり、進行が早いのが特徴です。
避妊手術を生後6か月までに行うと、乳腺腫瘍の発生率は90%以上低下すると報告されています。
1.2 子宮や卵巣の腫瘍
避妊手術をしていない犬猫は、子宮や卵巣に腫瘍ができることがあります。
- 子宮の腫瘍:比較的まれですが、子宮の腫瘍が発生すると手術が必要になります。
- 卵巣の腫瘍:卵巣腫瘍は発見が遅れがちで、大きくなってから症状が出ることが多いため、注意が必要です。
避妊手術をしていれば、そもそも子宮や卵巣がないため、これらの腫瘍が発生することはありません。
1.3 ホルモン関連の腫瘍(肛門周囲腺腫など)
避妊手術をしていない犬では、ホルモンの影響で「肛門周囲腺腫」などの腫瘍ができることがあります。特に中高齢になると発生しやすくなり、手術で摘出しなければならないケースもあります。
2. 避妊手術のメリットとデメリット
2.1 避妊手術のメリット
避妊手術をすることで、以下のメリットがあります。
✅ 腫瘍の発生リスクを大幅に減らせる
乳腺腫瘍・子宮や卵巣の腫瘍など、ホルモンに関連する病気を予防できます。
✅ 子宮蓄膿症を防ぐ
避妊手術をしていない犬猫は「子宮蓄膿症」という感染症にかかるリスクがあります。命に関わる病気ですが、避妊手術をしていれば予防できます。
✅ 発情期のストレスがなくなる
発情期には、犬や猫が落ち着かなくなったり、大きな声で鳴いたりすることがあります。避妊手術をすることで、発情期のストレスをなくすことができます。
✅ 望まない妊娠を防ぐ
外に出ることがある猫や、多頭飼いの家庭では、意図しない妊娠を防ぐことができます。
2.2 避妊手術のデメリット
もちろん、手術にはデメリットもあります。
⚠ 全身麻酔のリスク
手術には全身麻酔が必要ですが、麻酔には一定のリスクが伴います。若く健康なうちに手術を受けることで、リスクを最小限に抑えられます。
⚠ 術後の体重管理が必要
避妊手術後はホルモンバランスが変化し、太りやすくなることがあります。食事管理と適度な運動を心がけましょう。
⚠ 手術費用がかかる
避妊手術には費用がかかりますが、将来的に腫瘍や子宮蓄膿症の治療費が必要になることを考えると、結果的に医療費の負担を減らせる可能性があります。
3. 避妊手術の適切なタイミング
避妊手術のタイミングは、動物の年齢や健康状態によって異なりますが、一般的には以下の時期が推奨されます。
🐶 犬の場合:生後6か月〜1歳の間(初めての発情前が望ましい)
🐱 猫の場合:生後6か月前後(発情が始まる前が理想)
特に乳腺腫瘍のリスクを下げるためには、早めの手術が効果的とされています。
4. 避妊手術をするべき?しないべき?
結論として、避妊手術をすることで腫瘍のリスクを大幅に減らすことができます。もちろん、飼い主さんの考え方や、ペットの健康状態によって判断は異なりますが、医学的には「避妊手術を受けた方が健康リスクを減らせる」と考えられています。
「手術を受けさせるのがかわいそう…」と感じる方もいるかもしれませんが、将来的に病気で苦しむリスクを減らすためにも、前向きに検討することをおすすめします。
まとめ
- 避妊手術をしないと、乳腺腫瘍や子宮・卵巣の腫瘍のリスクが高くなる。
- 手術をすることで、腫瘍や子宮蓄膿症の予防ができる。
- 全身麻酔や術後の体重管理が必要だが、病気予防のメリットは大きい。
- 適切な時期に手術を受けることで、リスクを最小限に抑えられる。
愛犬・愛猫の健康を守るために、避妊手術についてしっかり考え、最適な選択をしましょう!
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