犬や猫の腫瘍について 〜良性と悪性の違い〜

犬や猫の腫瘍について 〜良性と悪性の違い〜

愛犬や愛猫の体にしこりや腫れを見つけると、飼い主としては不安になるものです。腫瘍には良性と悪性があり、それぞれ性質や治療方法が異なります。本記事では、犬や猫にできる腫瘍の種類や診断方法、治療について詳しく解説します。


腫瘍とは?

腫瘍とは、体内の細胞が異常に増殖することでできる「しこり」や「こぶ」のことを指します。腫瘍には、大きく分けて 良性腫瘍悪性腫瘍(がん) の2種類があります。


良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

1. 良性腫瘍

良性腫瘍は、増殖するスピードが遅く、周囲の組織に広がりにくいのが特徴です。一般的に転移することはなく、外科的に切除すれば完治するケースが多いです。

代表的な良性腫瘍の種類

  • 脂肪腫:皮膚の下にできるやわらかいしこり。老齢の犬によく見られる。
  • 乳腺腺腫:乳腺にできる良性腫瘍。避妊手術をしていないメス犬・メス猫で多く見られる。
  • 皮膚組織球腫:若い犬に多く、自然に消えることが多い皮膚の腫瘍。

2. 悪性腫瘍(がん)

悪性腫瘍は、増殖が早く、周囲の組織に浸潤しやすいのが特徴です。また、血液やリンパを通じて他の臓器へ転移する可能性があります。治療には早期発見と適切な対処が必要です。

代表的な悪性腫瘍の種類

  • 肥満細胞腫:犬に多く見られる皮膚のがん。進行が速く、転移しやすい。
  • 乳腺がん:乳腺腫瘍のうち約50%が悪性と言われる。
  • 骨肉腫:骨に発生する悪性腫瘍で、大型犬に多く発生する。
  • リンパ腫:リンパ組織に発生するがんで、犬・猫ともによく見られる。

腫瘍の診断方法

腫瘍が見つかった場合、以下のような検査を行い、良性か悪性かを判断します。

  1. 視診・触診:しこりの大きさや硬さ、動きをチェック。
  2. 細胞診検査:注射針で腫瘍の細胞を採取し、顕微鏡で分析。
  3. 病理組織検査:腫瘍の一部を切除し、詳細な組織分析を行う。
  4. 画像診断(X線・超音波・CT/MRI):腫瘍の大きさや転移の有無を確認。

治療方法

腫瘍の種類や進行具合によって、治療方法が異なります。

1. 外科手術

良性腫瘍や初期の悪性腫瘍では、手術で腫瘍を切除することが第一選択となります。

2. 化学療法(抗がん剤治療)

リンパ腫などの悪性腫瘍では、抗がん剤を使用してがん細胞の増殖を抑えます。

3. 放射線治療

手術が難しい場所にできた腫瘍に対して、放射線を照射して腫瘍を小さくする方法。

4. 緩和ケア

進行したがんの場合、痛みの管理や生活の質を向上させるためのケアを行うこともあります。


予防と早期発見のポイント

腫瘍の発生を完全に防ぐことは難しいですが、以下のような予防策が効果的です。

1. 定期的な健康診断

早期発見が治療成功のカギとなるため、年に1〜2回の健康診断を受けることをおすすめします。

2. 日頃のボディチェック

愛犬や愛猫の体を優しく触り、しこりや腫れがないかチェックしましょう。

3. 避妊・去勢手術

乳腺腫瘍や精巣腫瘍など、ホルモンが関与する腫瘍のリスクを減らせます。

4. バランスの取れた食事と適度な運動

免疫力を高め、健康を維持するために、適切な食事と運動を心がけましょう。


まとめ

犬や猫の腫瘍は良性・悪性のどちらも存在し、早期発見と適切な治療が重要です。しこりを見つけた際は、自己判断せず、動物病院で診察を受けることをおすすめします。

当院では、腫瘍の診断や治療、相談を受け付けております。愛犬や愛猫の健康について気になることがあれば、お気軽にご相談ください!

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レラ動物病院
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