馬尾症候群とは?
馬尾症候群(Cauda Equina Syndrome)は、犬や猫において脊髄の末端に位置する馬尾神経が圧迫されることによって生じる疾患です。後肢の麻痺や排尿・排便障害などの症状が現れ、放置すると重篤な神経障害へと進行することがあります。
この疾患は特に犬に多く見られますが、猫でも発症することがあります。高齢の動物や特定の犬種では発症リスクが高く、早期の診断と治療が重要です。
好発犬種・猫種
馬尾症候群は、特に以下の犬種・猫種で発症しやすいとされています。
好発犬種
- ジャーマン・シェパード
- ラブラドール・レトリーバー
- ゴールデン・レトリーバー
- ボーダー・コリー
- シベリアン・ハスキー
- ドーベルマン
好発猫種
- メインクーン
- ノルウェージャン・フォレスト・キャット
- アメリカン・ショートヘア
大型犬に多く発症しますが、小型犬や猫でもまれに発症することがあります。
馬尾症候群の原因
馬尾症候群の主な原因には、以下のようなものがあります。
1. 椎間板ヘルニア
椎間板が変性し、飛び出した組織が馬尾神経を圧迫することで発症します。
2. 脊椎の変形や腫瘍
加齢や遺伝的要因により、脊椎が変形し神経を圧迫することがあります。また、腫瘍の影響で神経障害が起こる場合もあります。
3. 外傷
交通事故や高所からの落下などの外傷が原因で、脊髄が損傷し馬尾神経が圧迫されることがあります。
4. 慢性的な関節炎
股関節形成不全や変形性関節症などが進行すると、馬尾神経に影響を与えることがあります。
馬尾症候群の症状
症状の程度は、神経の圧迫度合いや進行速度によって異なります。代表的な症状は以下の通りです。
- 後肢のふらつきや歩行困難
- 足を引きずるような歩行(ナックリング)
- 排尿・排便障害(失禁や便秘)
- 尾を動かしにくくなる
- 後肢の筋肉の萎縮
- 痛みや違和感による元気消失
初期段階では軽い歩行障害が見られる程度ですが、進行すると麻痺が悪化し、日常生活に大きな支障をきたすようになります。
診断方法
馬尾症候群の診断には、以下のような検査が行われます。
- 神経学的検査:反射や痛覚のチェックを行い、神経の障害レベルを評価します。
- X線検査(レントゲン):脊椎の変形や異常を確認します。
- CT/MRI検査:より詳細な画像診断により、神経の圧迫部位を特定します。
治療方法
馬尾症候群の治療法は、症状の重症度に応じて異なります。
1. 保存療法(軽度の場合)
- 消炎鎮痛剤の投与:痛みを抑え、炎症を軽減します。
- 体重管理:肥満は脊椎に負担をかけるため、適正体重の維持が重要です。
- リハビリテーション:ストレッチや水中療法などの運動療法を取り入れることで、筋力を維持しつつ神経の機能をサポートします。
2. 外科手術(重度の場合)
重度の神経圧迫が見られる場合は、外科手術が必要になります。
- 椎弓切除術:脊椎の一部を切除し、神経の圧迫を解消します。
- 脊椎固定術:不安定な脊椎を固定し、神経への負担を軽減します。
手術後は、リハビリと適切なケアが重要です。
予防と日常ケア
馬尾症候群を予防するためには、以下のポイントに気を付けることが大切です。
- 適度な運動:関節や脊椎に負担のかからない運動を心がけましょう。
- 滑りにくい床を用意する:フローリングなどの滑りやすい環境では関節に負担がかかるため、カーペットやマットを敷くと良いでしょう。
- 定期的な健康診断を受ける:早期発見・早期治療が重症化を防ぐ鍵となります。
- 適正体重を維持する:肥満は脊椎への負担を増加させるため、バランスの良い食事を与えることが重要です。
まとめ
馬尾症候群は犬や猫に発症する可能性があり、特に大型犬ではリスクが高い疾患です。放置すると歩行困難や排泄障害が悪化するため、初期症状を見逃さず、早めに動物病院を受診しましょう。
当院では、馬尾症候群の診断や治療を行っております。ペットの歩き方に違和感がある場合や、お困りのことがあればお気軽にご相談ください!
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レラ動物病院
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