犬猫の乳腺腫瘍:猫の方が悪性度が高い?

犬猫の乳腺腫瘍:猫の方が悪性度が高い?

はじめに

乳腺腫瘍は、犬や猫に共通して発生することがある疾患で、特に雌の動物に多く見られます。乳腺腫瘍は良性であることもありますが、悪性腫瘍も存在し、場合によっては命に関わることもあります。特に猫においては、乳腺腫瘍の悪性度が高く、早期発見と適切な治療が重要です。この記事では、犬と猫の乳腺腫瘍の特徴と治療法、猫における悪性度の高さについて解説します。


1. 乳腺腫瘍とは?

乳腺腫瘍は、乳腺に発生する腫瘍で、良性と悪性のものがあります。乳腺は、母乳を分泌するための組織であり、乳腺腫瘍はこの部分にできる腫瘍です。犬や猫では、特に雌の動物に多く見られますが、去勢・避妊手術を受けていない動物では発生リスクが高くなります。

  • 良性腫瘍: ほとんどが良性で、周囲の組織に広がることなく、摘出手術を受けることで完治することが多いです。
  • 悪性腫瘍: 悪性の腫瘍は、周囲の組織に浸潤し、転移する可能性が高く、早期発見と治療が必要です。

2. 猫の乳腺腫瘍:悪性度が高い理由

猫の乳腺腫瘍は、犬よりも悪性度が高いことで知られています。統計によると、猫の乳腺腫瘍の約80%は悪性腫瘍であり、犬の乳腺腫瘍は約50%程度が悪性です。この差は、猫の腫瘍がより攻撃的に進行することを意味します。

2.1 猫の乳腺腫瘍の特徴

  • 高い悪性度: 猫の乳腺腫瘍の多くは悪性で、特に未避妊の雌猫に多く見られます。悪性腫瘍は転移しやすく、リンパ節や肺などに転移することが多いため、早期の診断と治療が非常に重要です。
  • 早期の転移: 猫の乳腺腫瘍は比較的早期に転移を始めることが多いため、症状が現れた段階で既に進行している場合もあります。
  • 治療の難しさ: 乳腺腫瘍が悪性の場合、治療は外科手術や化学療法、放射線療法を含む多角的なアプローチが必要となり、長期的な管理が求められます。

3. 犬の乳腺腫瘍:良性の割合が高い

一方、犬の乳腺腫瘍は猫と比べて良性の腫瘍が多く見られます。犬の乳腺腫瘍の約50%が良性であり、悪性腫瘍の発生頻度は猫に比べて低いですが、それでも無視できないリスクがあります。

3.1 犬の乳腺腫瘍の特徴

  • 良性の割合が高い: 犬の場合、乳腺腫瘍は良性のものが多く、早期に発見されれば外科手術で完全に治療できる場合がほとんどです。
  • 悪性腫瘍の発生: しかし、悪性腫瘍が発生することもあり、特に去勢・避妊手術をしていない犬や高齢の犬に多く見られます。悪性腫瘍は転移のリスクが高いため、早期発見と早期治療が重要です。
  • 避妊手術の影響: 避妊手術を受けていない犬の乳腺腫瘍の発生率が高く、避妊手術を早期に受けることで発生リスクを低減することができます。

4. 乳腺腫瘍の診断方法

乳腺腫瘍の診断には、いくつかの方法があります。これらの方法を使って、良性か悪性かを判断し、最適な治療を選択します。

4.1 視診と触診

乳腺腫瘍は、見た目や触れた感じで異常を確認することができます。腫瘍が発見された場合、すぐに動物病院で診察を受けることが重要です。

4.2 細胞診

腫瘍から細胞を採取し、顕微鏡で調べることで、良性か悪性かを判断します。この検査により、乳腺腫瘍が悪性であるかどうかを確認できます。

4.3 超音波やX線検査

転移の有無を確認するために、超音波やX線検査を行うことがあります。転移が確認されれば、より進行した治療が必要となります。


5. 治療法と予後

乳腺腫瘍の治療法は、腫瘍の良性か悪性かにより異なります。

5.1 手術による摘出

乳腺腫瘍の最も一般的な治療法は、外科手術による腫瘍の摘出です。良性の腫瘍は手術で完全に治癒することが多いですが、悪性腫瘍の場合、再発や転移のリスクがあるため、追加の治療が必要となることがあります。

5.2 化学療法や放射線療法

悪性の乳腺腫瘍が発見された場合、化学療法や放射線療法が行われることがあります。これらの治療法は、転移を防ぐために重要です。

5.3 避妊手術

避妊手術を早期に受けることで、乳腺腫瘍のリスクを大幅に減少させることができます。特に若い年齢で避妊手術を受けることが推奨されています。


6. 予防と飼い主の役割

乳腺腫瘍は完全に予防することは難しいですが、早期発見と治療によって、愛犬・愛猫の健康を守ることができます。

  • 定期的な健康診断: 乳腺腫瘍を早期に発見するためには、定期的に動物病院で健康診断を受けることが重要です。
  • 乳腺のチェック: 飼い主自身が愛犬・愛猫の乳腺を定期的にチェックすることも役立ちます。
  • 避妊手術: 乳腺腫瘍のリスクを減らすため、避妊手術を早期に受けさせることが有効です。

おわりに

犬猫の乳腺腫瘍は、良性と悪性があり、猫は特に悪性の割合が高いことがわかりました。早期発見と適切な治療が重要であり、飼い主としてできるだけ早く異常に気づき、動物病院での診察を受けることが大切です。乳腺腫瘍に関する知識を深め、愛犬や愛猫の健康を守るための一助になれば幸いです。

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