診療科目
Medical Treatments
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循環器科
]
専門医による高度診療
こんな症状がみられたらご来院ください
- 咳の頻度が増えた
- 散歩の距離が短くなってきた。疲れやすい
- 呼吸状態が苦しそう
- 突然の失神
- 猫:突然後ろ足が動かなくなった
代表疾患
僧帽弁閉鎖不全症
拡張型心筋症
肺高血圧症
肥大型心筋症
僧帽弁閉鎖不全症
犬で最も一般的な心臓病で、僧帽弁(左心房と左心室の間にある弁)が正常に閉じなくなる疾患です。結果、血液が逆流し、全身へ流れる血液が少なくなります。初期の頃は心拍数を上げたり、血管を広げたりする事で代償しますが、進行すると心臓内に血液がうっ滞し、左心房が拡大。やがて肺からの血管(肺静脈)に負担がかかります。
この状態が続くと、肺の毛細血管より血液の液体成分が漏れ出し、肺水腫を引き起こします。
肺水腫は緊急を要する疾患で、呼吸促拍、呼吸困難、湿った咳、意識レベルの低下などの症状がみられます。これは早急に対処する必要があり、放置すると24時間以内にも亡くなってしまう事があります。健康診断などで心臓に雑音が聴診された場合、定期的な検査や飲み薬でのコントロール、場合によっては外科的な対応が必要となります。
拡張型心筋症
こちらは大型犬に多い疾患で、心臓の壁が薄くなり、心臓の収縮力が低下し、血液を十分に送り出せなくなる病気です。初期は無症状ですが、心拡大が進行すると、刺激電動がうまく働かず、不整脈が頻発し、突然失神を起こすといった症状がみられるようになります。また、血液のうっ滞により症状が悪化すると、僧帽弁閉鎖不全症と同様に肺水腫や腹水の貯留などもみられるようになります。ほとんどのケースが遺伝的要因によるため、発症を完全に防ぐ事はできず、残念ながら完全に治すこともできません。内科的な治療として、強心剤や血管拡張剤、利尿剤などの投与がおこなわれ、心臓病の進行を遅らせる事が目的となります。
初期症状は非常に分かりにくいため、日ごろから愛犬をよく観察し、定期的に健康診断を行う事で病気の早期発見につとめましょう。
肺高血圧症
犬の肺高血圧症は、様々な原因により肺の血管内の血圧が異常に高くなる状態を示します。この状態が進行すると、心臓や肺に大きな負担をかけ、運動不耐性や失神、肺水腫(肺浸潤)に伴う呼吸困難などの重篤な症状がみられます。
その原因には肺動脈自体に異常があるもの(1群)、左心疾患によるもの(2群)、呼吸器疾患・低酸素によるもの(3群)、肺血栓症によるもの(4群)、寄生虫疾患によるもの(5群)、多因子または原因不明なもの(6軍)などがあります。
肺高血圧症自体の診断は画像検査を組み合わせる事で可能ですが、その原因も同時に特定する必要があり、可能な限り臨床分類に基づいた治療を行う事が大切になります。
肥大型心筋症
猫の肥大型心筋症は、心臓の左心室の壁が異常に厚くなる(肥大する)ことで心臓の動きに障害が起こり、体へ十分な血液量を送り出すことができなくなる病気です。肥大型心筋症の原因はまだ解明されていませんが、遺伝的要因が強く関与していると考えられています。特にメイン・クーン、ペルシャ、ラグドールなどの長毛種やアメリカン・ショートヘアは好発の猫種と言われております。
この病気は進行するまで無症状であることが多く、聴診などの身体検査においても異常が認められないケースも多々あります。
心筋壁の肥大が重篤化すると、収縮期の左室流出路閉塞や僧帽弁の逆流が認められるようになります。また左心房が拡大するほどに進行した場合は、血栓症のリスクや肺水腫になるリスクが高くなります。左心房が拡大すると、心房内で血液がうっ滞し、血液が固まりやすくなります。
左心房内で形成された血栓が心臓の拍動により大動脈に押し出されると、特にその分岐点(後肢の付け根の動脈血管)で閉塞が起こり、下半身への血流が遮断され、下腿部の血栓塞栓症(ATE)が引き起こされます。これにより、突然の痛み(ギャンと鳴くほどの痛み)、後肢の麻痺などの症状が認められるようになります。
治療が早急に行われないと、血流が遮断された組織が壊死する可能性があるため、愛猫が突然ギャンと鳴きの後肢麻痺が認められた場合には早急に動物病院へ受診しましょう。
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腫瘍科
]
専門医による高度診療
こんな症状がみられたらご来院ください
- 体重が減ってきた、痩せてきた
- 身体にしこりができた
- 治らない症状、繰り返す症状
代表疾患
皮膚の悪性腫瘍
口腔内の腫瘍
腹部の腫瘍
呼吸器の腫瘍
泌尿器の腫瘍
生殖器の腫瘍
腫瘍とは
腫瘍とは本来自分の体内にある細胞が「自律的」に「無目的」かつ「過剰」に増殖する状態を言います。
腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、悪性腫瘍をいわゆる「ガン」と言います。腫瘍は体のどこにでも発生するため、発生臓器によってさまざまな弊害や症状を引き起こします。例えば皮膚に腫瘍が生じると「しこり」となり、消化管に腫瘍が生じると吐き気や下痢を、泌尿器系に生じると血尿などが認められます。
悪性腫瘍の場合、進行すると腫瘍細胞が周囲の血管を引き込み、正常細胞に届けられるはずの栄養まで奪っていきます。そのため体重の低下や食欲が減退がみられるようになります。
悪性腫瘍と良性腫瘍の大きな違いとして「浸潤」と「転移」があります。
良性腫瘍は被膜内で膨張性に増殖するため、浸潤や転移は起こしません。
一方で、悪性腫瘍は正常組織との境界部が不明瞭となるように増殖するため、周囲組織への浸潤を引き起こします。また、血管内やリンパ管内に浸潤した悪性腫瘍はその流路に乗っ取り、他の臓器へ「転移」を引き起こします。よく聞く「ステージ」とは、元の悪性腫瘍の大きさや、この転移の進行度によって決まります。転移が進行した場合、治療が難しくなる事も多く、さらに隠れて進行していく事も多い為、注意が必要です。
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整形外科
]
専門医による高度診療
こんな症状がみられたらご来院ください
- 足を地面につけられない
- ふらついて歩く
- 骨折した
関連ワード
整形疾患(骨、関節、筋など)
神経疾患
血液関連性疾患(自己免疫性疾患・血栓など)
腫瘍性疾患
外傷
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皮膚科
]
こんな症状がみられたらご来院ください
- ひっきりなしに身体を搔いている
- 皮膚が赤くなっている
- 毛が薄く、脱毛している
代表疾患
アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー)
膿皮症
脂漏性皮膚炎
皮膚糸状菌症
外耳炎
脱毛症X
アレルギー性皮膚炎
(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー)
アレルギー性皮膚炎は環境アレルゲン(花粉、ダニ、カビなど)や食物アレルゲンに対する過敏反応によって引き起こされる痒みを伴った皮膚の炎症です。症状は特に内股や脇、四肢の指間や顔回りに出やすく、アトピー性皮膚炎の内30%ほどは食物アレルギーも併発していると言われています。
アトピー性皮膚炎の発症には遺伝的背景が隠れていると言われており、①皮膚のバリア機能異常②免疫異常③痒みによる皮膚の掻爬(二次的な皮膚のバリア崩壊)の3要素が複雑に絡み合う事により発症します。そのため管理するためにはこれら3つの因子それぞれに対応する必要があります。
具体的には
①“保湿”を意識したシャンプーや薬浴や外用薬
②アレルゲンを含まない特別な食事
③腸内細菌叢の正常化
④痒みや炎症を抑える薬物療法
などが挙げられます。
アレルギー性皮膚炎は長期間にわたって付き合っていかなければなりません。
現在では様々な治療法がありますので、当院では飼い主様のライフスタイルや皮膚の状態に合わせた治療法をご提案いたします。
膿皮症
正常な皮膚の表面にはたくさんの種類の細菌が存在し、微生物バリアや身体の免疫能に貢献し、皮膚と身体の健康を支えています。しかし、何等かの原因で皮膚のコンディションが崩れてしまうと、皮膚バリア機能が壊れ、細菌が侵入して皮膚炎が引き起こされます。これが膿皮症です。
皮膚のバリア機能が崩れる理由はさまざまで、高温多湿な環境、誤ったスキンケア、外傷、栄養状態、ノミ・ダニ・カビの感染、アレルギー性皮膚炎、ホルモン異常、内臓の異常などが考えられます。
膿皮症の主な原因菌はStaphylococcus pseudintermediusと呼ばれるブドウ球菌で、適切な抗菌薬を選んで治療しますが、その背景となる基礎疾患の管理も行っていくことも重要となります。
脂漏性皮膚炎
皮脂は、皮膚を保護する役割を果たしています。
その皮脂の分泌が多くなり過ぎたり、少なくなり過ぎたりすると脂漏性皮膚炎が起こります。
皮脂腺の働きが悪くなると、皮脂の分泌が悪くなって、皮膚が乾燥します。
これを乾性型と呼びます。ヨークシャーテリアなどの犬種に多いです。逆に皮脂が過剰に分泌されると皮膚がベタベタして脂っぽくなります。これを脂性型と呼びます。これはシーズーやマルチーズに多いです。症状は耳、目や乳頭の周囲、背中、腹部によく見られます。
フケが出たり、臭いがしたりするのが特徴です。
原因は、アレルギー性皮膚炎や内臓の異常、寄生虫や真菌による皮膚炎、ビタミン・ミネラルの不足、脂肪分の不足などでも起こります。
そのため総合的に検査を行い、多角的な治療(スキンケア含む)が必要です。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症(皮膚真菌症)は、皮膚・毛にに感染する真菌(カビ菌)によって引き起こされる感染症です。特にMicrosporum canisという真菌が最も一般的な原因です。感染が毛根にまで広がると、炎症が引き起こされます。典型的には円形脱毛病変を形成し、感染した被毛はささくれたような見た目になります。フケは伴うことが多いものの、赤みや痒みは伴わない場合もあります。そのため、皮膚病と思われていないこともあるでしょう。発生は若齢の猫が最も多く、次に高齢の猫に認められることから、発症には、皮膚の免疫力低下との関連が考えられています。
治療は、抗真菌薬の投薬で対応します。治療は4カ月以上の長期投薬が必要になる事があるため、薬剤による負担が現れないかを慎重に観察しなければなりません。
治療終了の目安として、培養検査によって被毛やフケから真菌が検出されなくなるまでが理想ですが実際には、病変消失後、2週間くらいの投薬で治療を終了するケースが多いです。
外耳炎
悪性腫瘍と良性腫瘍の大きな違いとして「浸潤」と「転移」があります。
良性腫瘍は被膜内で膨張性に増殖するため、浸潤や転移は起こしません。
一方で、悪性腫瘍は正常組外耳炎は耳の外耳道(耳の入り口から鼓膜までの部分)に炎症が生じる状態です。これはワンちゃんにとって一般的な耳の問題の一つで、特に狭い外耳道の犬種(パグやフレンチブルドックなど)やたれ耳の犬種(シーズーやトイプードル)やアレルギー体質の子でよくみられます。
たれ耳や狭い外耳道の犬種は耳の通気性が悪く湿気が溜まりやすくなり、細菌や真菌(マラセチア)が繁殖しやすい環境となります。また、アレルギー体質の子も外耳道内のバリア構造が崩壊されやすいため、同様に細菌や真菌(マラセチア)が繁殖しやすい環境となります。症状は耳の痒みや痛みや赤み、耳の臭いや耳垢の増加などみられます。治療法は耳の洗浄や抗生剤・抗真菌剤・消炎剤の投与になります。(体質的な問題も含めて)再発するケースが多いため、治療後も定期的な耳のチェックと洗浄・掃除する事が重要です。織との境界部が不明瞭となるように増殖するため、周囲組織への浸潤を引き起こします。また、血管内やリンパ管内に浸潤した悪性腫瘍はその流路に乗っ取り、他の臓器へ「転移」を引き起こします。よく聞く「ステージ」とは、元の悪性腫瘍の大きさや、この転移の進行度によって決まります。転移が進行した場合、治療が難しくなる事も多く、さらに隠れて進行していく事も多い為、注意が必要です。
脱毛症X
脱毛症X(Alopecia X)は主にポメラニアンやシベリアンハスキーなどの犬種にみられる、原因不明の脱毛症です。このXは「未知の要因・不明な要因」という意味があります(アメリカのXファイルが有名です)。正確な原因はまだ解明されていないものの、遺伝的な背景やホルモン異常などにより毛周期(毛の生え変わりのサイクル)の異常が起こるという仮説も提唱されています。
特徴としては左右対称性の脱毛、皮膚の黒ずみ、毛質の変化などが挙げられます。
原因不明という事もあり、診断や治療における明確なガイドラインはありませんがホルモン療法やメラトニン投与、ビタミン療法(ビタミンAやビタミンE)や栄養療法(ω3系・ω6系脂肪酸)などが試みられる事があります。
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消化器内科
]
こんな症状がみられたらご来院ください
- 食欲がない。食欲にムラがある
- 嘔吐や下痢
- 体重が減ってきた
代表疾患
急性胃腸炎
慢性腸症
腸閉塞
寄生虫感染
膵炎
肝臓疾患
急性胃腸炎
急性胃腸炎は突然の嘔吐や下痢を特徴とします。厳密にこれを診断する事は困難ですが、平たい言い方で胃腸炎と表現されるケースが多いです。下痢はその症状から小腸性下痢と大腸性下痢の2種類に大別されます。胃腸炎と診断されるケースではおおよそ大腸性下痢の特徴と一致する事が多いです。大腸性下痢はしぶるような便、頻回便、粘膜状~水状の便といった特徴があります。また、鮮血が下痢便に混じる事もあります。
大腸性下痢は食べ物の変更や環境ストレスなどの様々な原因で起こりますが、原因特定に至らずに自然に治るケースも多々あります。全身状態が安定していて急性期の場合は対症療法となります。
具体的には腸の粘膜が再生するまでの期間(4~5日)腸内環境を整え、粘膜が自然回復するのを待ちます。ただし、ごく稀にこの期間に瀉血便(お尻から血が出るような便)となる事があり、その場合は重度の脱水や敗血症のリスクが高くなります。その際はより積極的な検査・治療が必要となります。
慢性腸症
慢性腸症とは長期にわたる腸の炎症状態を指す総称で、長期間続く消化器症状(下痢・嘔吐・食欲不振・食ムラなど) 、対症療法への反応が乏しいもしくは薬を切ると再発する消化器症状、体重減少などの症状を伴います。
慢性腸症の主な種類は食物反応性腸症(FRE)、抗生物質反応性腸症(ARE)、免疫反応性腸症(IBD)、無反応性腸症が挙げられます。
これらの判別は除外診断をもとにおこなわれ、血液検査・糞便検査(PCR検査含む)・超音波検査などを通じて行われます。全身状態が安定していれば、これら検査結果をもとに食事療法や抗菌剤療法を開始します。食事療法や抗菌剤療法に反応が乏しい場合や、全身状態の悪い場合(特にアルブミンの低下がみられる場合など)においては免疫反応性腸症(IBD)の可能性が高くなり、内視鏡検査や腸管のパンチ生検なども検討されます。免疫反応性腸症(IBD)は炎症性(リンパ球形質細胞性腸炎など)のものもあれば腫瘍性(リンパ腫)のものもあります。これらはステロイド剤に反応するケースが多いですが、予測される予後や長期間管理を見通した治療方針が異なる事から、治療開始前に病理検査をおこなう意義があります。
腸閉塞
腸閉塞は、腸の一部が物理的に塞がれ、食物や液体が正常に通過できなくなる状態を言います。これは緊急を要する状況で、早期の診断と治療を行わなかった場合、腸管の虚血が進行し、最悪の場合、腸壁の壊死・穿孔を引き起こし敗血症などの重篤な合併症が発生します。
腸閉塞の原因は様々で、異物の誤食や消化管腫瘍(特に腸腺癌)、腸重積や腸捻転などが挙げられます。腸閉塞の症状は閉塞の場所や程度によって異なりますが、嘔吐や食欲不振が一般的には認められます。治療法は、外科的治療(腸切開や腸切除)が第一に考えられますが、軽度の閉塞の場合は静脈点滴や薬物療法などの内科的治療が選択される事もあります。
腸閉塞は早期に治療すれば良好な予後が期待されるため、疑わしい症状がみられた場合は、速やかに獣医師に相談する事が重要です。
寄生虫感染
犬猫の消化管寄生虫感染は、消化器官内に寄生虫が侵入し、繁殖する事で健康に様々な悪影響を及ぼす病態です。これらの寄生虫は犬猫の健康だけではなく、人間にも感染するものもあるため、適切な予防と駆虫が必要となります。代表的な消化管寄生虫は回虫、鉤虫、鞭虫、条虫、コクシジウム、ジアルジア、トキソプラズマなどが挙げられます。多くの寄生虫感染は免疫力が未発達な幼少期に感染・発症する傾向にありますが、成犬・成猫も適切な予防や管理がされていない場合、寄生虫感染リスクはあります。治療法は寄生虫の種類に応じて駆虫薬が処方されます。症状が重篤な場合は、入院して点滴やその他の支持療法が必要な事もあります。現在は外部寄生虫予防薬(ノミ・ダニ予防薬)に消化管寄生虫の駆虫効果が追加されている薬が多いため、これらの薬の定期的な投与により管理する事が大切です。
膵炎
膵臓は消化酵素を生成し、消化管に排出する事でこれが活性化され、食物の消化に重要な役割を果たします。しかしこの消化酵素が膵臓内で活性化されてしまうと、自己消化を引き起こし、炎症が発生します。これが膵炎です。
原因については不明な点が多い疾患ですが、高脂血症や膵臓への血液供給不足が引き金となる可能性が考えられています。
膵炎には急性膵炎と慢性膵炎の2つのタイプがあります。急性膵炎は突然発症し、激しい腹痛や嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器症状を引き起こします。症状は軽症~重症と様々ですが、重篤な場合は全身性に炎症反応が波及し、ショック・DIC・多臓器不全を引き起こす事があります。
慢性膵炎は穏やかに進行する膵臓の炎症で、持続的な軽度の症状がみられる事があります。急性膵炎が繰り返し発生したり、膵炎が十分に治癒しない場合、膵臓の組織が徐々に損傷し、慢性的な炎症が続く事があります。慢性膵炎で膵臓の機能が徐々に低下すると、最終的には膵外分泌不全(EPI)を発症します。膵炎の診断は症状・身体検査・血液検査・画像検査などの所見から包括的に判断されます。初期治療は十分な輸液療法に加え、鎮痛剤、制吐剤などを行い、炎症が自然に落ち着き自己回復するのを補助する事が目的となります。また、重症度に比例してSARS(全身性炎症反応症候群)や血栓形成リスクが高くなるため、重篤な場合には血栓予防や消炎剤などの治療も考慮されます。急性膵炎では早期に治療を開始する事で重篤化を防ぐ可能性があると考えられており、迅速で的確な診断が必要です。
肝臓疾患
肝臓は再生能力が高い臓器であるため、かなりの障害を受けてからでなければ症状としてあらわれず「沈黙の臓器」とも言われます。しかし、一定以上の障害を受けると、急に元気・食欲がなくなり、嘔吐、下痢などの消化器症状をきたす事があります。 また体が黄色くなる(白い犬では皮膚が、その他の犬でも口の粘膜などが)黄疸は特徴的なサインとなります。ひとえに肝臓疾患といっても、様々なものがあり、急性肝炎、慢性肝炎、胆管肝炎、空砲性肝障害、肝リピドーシス、肝膿瘍、肝硬変などの疾患があります。これらを診断するには血液検査、超音波検査、レントゲン検査、さらには肝臓の生検が必要になる事があります。治療は原因によって異なりますが、薬物療法、食事療法、外科的な介入が行われる事があります。
早期発見と治療が重要であり、犬猫が肝臓疾患を持っている場合は、定期的な動物病院でのフォローアップが推奨されます。
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予防医療
]
- 避妊・去勢手術
- ノミ・ダニ・内部寄生虫予防
- フィラリア予防
- ワクチン接種
- 狂犬病ワクチン接種
- 健康診断
当院では予防医療にも力を入れております。
Ruanaプレミアム会員もご参考ください。健康診断につきましては、画像診断認定医による健康診断もご参考ください。
混合ワクチン・狂犬病ワクチン
準備中
予防手術(避妊去勢)
体重による変動あり
準備中
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眼科
]
こんな症状がみられたらご来院ください
- 涙がたくさん流れる
- 目ヤニが増えた
- 目が赤い
- 目を気にする、しょぼつく
- 黒目が白く濁ってきた
代表疾患
白内障
ぶどう膜炎
緑内障
角膜潰瘍
白内障
水晶体という凸レンズは、その透明性を保つために均一で厳密な組織構造を保っていますが、この構造が様々な要因により崩される事で透明性を失い白内障となります。その要因は遺伝性・老齢性・代謝性(糖尿病など)・続発性(ぶどう膜炎、緑内障、網膜変性症など)など様々です。白内障は基本的に進行する病気であり、最終的には過熟白内障と呼ばれる水晶体の融解がおきる状態に至る事があります。
これは、水晶体内の構造が破綻した結果、構成成分が液状化を起こして眼内へ漏出し、ぶどう膜炎や緑内障などの続発症を引き起こす事があります。白内障は発生原因や個体差によって、症状の現れ方と進行速度に違いがあります。進行速度が遅い症例では生涯にわたって続発症が表面化しない事もありますが、白内障発症後に白内障を進行させる原因が新たに加わる事もあり、進行速度が変化する事も珍しくありません。そのため、白内障が進行していないかどうかを定期的に検診する事が大切になります。
ぶどう膜炎
腫水晶体という凸レンズは、その透明性を保つために均一で厳密な組織構造を保っていますが、この構造が様々なぶどう膜とは、目の中の血管膜とも呼ばれる血管に富んだ組織であり、虹彩、毛様体、後部の脈絡膜を合わせてそのように呼ばれています。これは色が果物のブドウに似ているからそう呼ばれています。ぶどう膜は、他の眼組織と比べて血管が多いため炎症を起こしやすく、炎症が起こると、網膜をはじめ、ぶどう膜に隣り合わせている眼組織にも、炎症が少しずつ広がり、視力の低下を引き起こします。炎症の程度が強い場合や、長期間、炎症が続いた場合は、緑内障などの合併症により、視力が回復しない場合もあります。
ぶどう膜炎の原因は様々ですが、眼組織以外にも、炎症や病気が隠れている可能性があるために、問診、眼科検査、全身検査を総合して、診断を行います。要因により崩される事で透明性を失い白内障となります。その要因は遺伝性・老齢性・代謝性(糖尿病など)・続発性(ぶどう膜炎、緑内障、網膜変性症など)など様々です。白内障は基本的に進行する病気であり、最終的には過熟白内障と呼ばれる水晶体の融解がおきる状態に至る事があります。
緑内障
緑内障とは、目の中の水(眼房水)が溜まり、目の中の圧力(眼圧)が上昇することによって、目の痛みや視覚障害を引き起こす病気です。眼房水はぶどう膜の一部である毛様体突起で産生され、前房隅角と呼ばれる部位で排出されます。
この眼房水の産生と排出のバランスが維持される事で、正常な眼圧が保たれます。しかし、様々な原因で排出が障害されると眼圧が上昇し、緑内障のような疾患になります。
眼圧が上昇した状態が持続すると、網膜と呼ばれる視覚情報を受容する薄い膜が剥がれてしまい(網膜剥離)、視覚機能が低下~消失し、やがては失明してしまいます。また、眼圧が上昇すると激しい目の痛みが生じたり、充血・血管怒張・角膜の混濁などの症状がみられたりします。
視覚機能はダメージを受け続けると元に戻らなくなるため、できる限り早く眼圧を下げる必要があります。
角膜潰瘍
角膜潰瘍は、角膜表面にできる潰瘍や損傷を指し、痛みや視覚の問題を引き起こす可能性がある状態です。角膜が傷つく原因としては、外傷、感染症(細菌やウイルス)、ドライアイ、構造的問題(眼瞼内反症や外反症や逆さまつげなど)、自己免疫性疾患(免疫系が角膜を攻撃)など多岐にわたります。傷ついた角膜は、正常であれば数日~1週間程で修復されます。しかし、再生途中に感染が起こったり、眼をこするなどの外的な刺激が加わると、治癒が遅れたり、再発したりする可能性があります。角膜上皮が正常に再生するためには、重症度に合わせた適切な補助治療が必要になります。
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歯科
]
こんな症状がみられたらご来院ください
- お口が臭う
- 歯石がついてきた
- 食べたそうだけど食べれない
- 食べ方がおかしい
代表疾患
歯周病(歯肉炎・歯周炎)
根尖膿瘍
内歯瘻・外歯瘻
口腔鼻腔瘻
歯周病(歯肉炎・歯周炎)
歯垢・歯石中に存在する細菌に由来する物質に反応して口腔内で炎症が起きます。炎初期の段階では歯が接する歯肉の炎症、すなわち「歯肉炎」が生じます。さらに炎症が進むと、組織の破壊に関係する多くの酵素が産生され、歯肉・歯根膜・歯槽骨と呼ばれる歯を支える周囲の組織が壊されていきます。この段階を「歯周炎」と呼びます。歯肉炎と歯周炎を合わせて歯周病と呼びます。
歯周病の治療は、歯肉縁上の歯垢・歯石の除去と歯面の研磨を行い、歯肉縁下の歯石・歯垢除去を行います。歯肉縁下の歯石・歯垢除去を適切に行わないと、根尖膿瘍や内歯瘻や外歯瘻といった病気に進行するため、当院では全身麻酔下での歯科処置を推奨しています。
根尖膿瘍
歯周病や破折(歯が折れること)による露髄(歯の神経がむき出しになること)により、歯の根の部分に感染が起こり膿がたまる状態です。歯を支える歯槽骨まで炎症が及ぶと、歯槽骨が溶けて吸収されてしまいます。根尖膿瘍の根本治療は、麻酔下で原因となる歯の抜歯など歯科処置を行うことです。さらに、そのまま歯石除去も同時に実施します。
ただ、麻酔をかけることができないなど状況にあわせて、抗生物質や消炎剤の内服薬を投与する内科治療を選択する場合もあります。
しかし、内科治療は根本的な治療ではないため、一時的で再発する可能性があります。
内歯瘻・外歯瘻
内歯瘻とは、歯周病により形成された根尖病巣で逃げ場のなくなった膿が歯茎に穴を開けてしまう状態をいいます。一方で外歯瘻は、歯の根元部分まで炎症が進み、顔の骨が溶けて皮膚まで穴が空いてしまった状態をいいます。いずれの場合も、問題となる歯を抜歯し、感染源を除去する必要があります。場合によっては、他の感染した歯も同時に治療する必要があります。この際、感染部位を徹底的に洗浄し、抗生物質を投与して感染を押さえます。
放置すると感染が広がり全身状態が悪化する事があるため、いずれの状態も早期の診断と治療が重要となります。
口腔鼻腔瘻
口腔鼻腔瘻とは、歯の根元部分まで炎症が進み、骨が溶けて鼻の中に穴が空いてしまった状態をいいます。この状態で食事や水を飲むと、口から鼻の中へ内容物が漏れ出すため、くしゃみや鼻水、食べ物が鼻から出るなどの症状が現れます。また、この状態の場合、口の中の内容物が鼻を通って、誤って気道に入りやすくなってしまいます。このように異物が気道に入る事を「誤嚥」といいます。誤嚥が繰り返されると、肺に炎症を引き起こし、誤嚥性肺炎の原因となります。
治療は感染源となる歯を抜歯し、空いた穴を口腔粘膜で塞ぐ(フラップ形成)手術が必要となります。
[
一般外科・緊急手術
]
一般外科
胃拡張捻転症候群
腹腔内出血(脾臓破裂)
胆嚢破裂
消化管内異物
腎婁チューブ設置
尿道閉塞
子宮蓄膿症(子宮卵巣摘出)
帝王切開
膿胸ドレーン設置
一時気管切開
眼球摘出
など
緊急手術
子宮卵巣摘出(避妊手術、卵巣腫瘍など)
精巣摘出術(去勢、停留睾丸、精巣腫瘍)
体表腫瘤切除
皮膚縫合(外傷など)
膀胱切開、膀胱結石摘出
胃切開
腸切開
腸切除、断端吻合
胆嚢切除
肝臓切除(部位による)
膵臓切除
腎臓切除
甲状腺切除(腫瘍の浸潤具合による)
肛門周囲の手術(肛門嚢摘出、肛門周囲腺腫など)
会陰尿道造婁術
など